自己責任という言葉を使うのはなぜか

他人が失敗した時に「自己責任」という言葉が使われやすい傾向にあります。自己責任を追求する側の人には、何か弱々しさとか不安を抱えているように感じられるので、そのような言葉が出てくるのかメカニズムはどういうものか気になっていました。

主語が何なのかと考えてみると、自己責任の主語は自分ではなくあなたです。「あなたの」自己責任、ということです。自分の主張ではなく、相手の非を責める言葉です。

本当の意図は「私にできる範囲を越えている」ということです。さすがに直接そうは言えないために言い換えて自己責任という言葉が出てくるのです。

主語をあなたにしたYouメッセージによるコミュニケーションは関係をこじらせる原因になります。それよりも私を主語にしたIメッセージで上手な表現を探す方が良いのではないかと思います。

「私ができるのはここまでです」と提示して、もし相手にとって良くないことが起こったとしたら、こちらも残念だと言えばそれ以上踏み込む必要はないのです。「あなたの自己責任だ」と言って相手の悪い点を指摘することは無用です。

「私にできる範囲を越えている」と主張することは冷たいことではありません。自分がしっかり主張すれば、相手はそれを受け止めて対応する能力があります。むしろ自分の主張をしないことは相手の対応能力を軽視しているのと同じです。