すべて合意形成してから

勉強が楽しい、塾が楽しいと言ってもらえることがありますが、楽しい勉強を構成する要素を細かく分解して見ていきたいと思います。もちろんふざけて楽しいのではなく、充実した楽しさという意味です。

勉強が楽しくなる方法の一つとして、勉強の流れすべてを合意に基づいて進めるということが挙げられます。

先生側はやるかやらないか選択肢を提供するに留まって、どちらが選ぶかは本人が考えて決定するということです。

好きな参考書やツールも人それぞれですし、たとえば書いて覚えるのが好きな人もいれば、書くことが面倒だから見るだけで勉強したいという人もいます。

解き方に関しても生徒本人が納得した方法でやることが望ましいです。たとえばある数学の問題で反復試行という計算法の方が早いとしても、「おれは樹形図でやるんだ」というのならばやらせれば良いのです。

そのようにして、他人ごとでなく自分ごととして勉強を進めていくことが重要なのではないかと考えています。自分で進める感覚を土台として、理解したり覚えたときのうれしさが積み重なっていくものなのだと感じています。

生徒の言う通りにやらせてしまっては、ただひたすらラクな方法だけを選ぶのではないかという批判もあるかもしれませんが、実際に私が見る限りではそういった問題は起こっていません。むしろこちらが期待する以上に主体的に取り組んでくれています。

そして、これは社会に出て仕事をする時にも通じる重要なことです。仕事においては何か絶対的な教科書があるわけではなく、自分なりのやり方を考えて仕事を覚えたりスキルを高めたりしていくのですから、学生時代からそれに近い形での学習法を覚えていったほうがよいのではないかと考えています。