ビジョンでものを買う

色々な価値観が変わっていく中で、買い物の仕方も変わってくると考えています。 お金へのこだわりというのが減っていく状況を見て特にそう思います。 お金にあまりこだわらないようになっていくと、買い物するときの基準も変わっていくと考えられます。

これまで我々はどういう風な基準で買い物していたかというと「コストパフォーマンス」ということを非常に気にしていました。 つまり金額と物のクオリティを比較して妥当かどうかということを考えるという発想です。 ですからこのクオリティにしては安いとか、このクオリティにしてはちょっと高いみたいな基準で買うか買わないかを判断していました。 コストパフォーマンスの発想は、根本的には安ければ安いほどよく、質の高いものをできるだけ安く買うという基準でした。

ただ、これからは少し価値観も変わってくると思っています。 どういうふうに変わるかと言うと、ビジョンを基準に買い物するという風に変わってくると思います。 商品に対するビジョンだとか、作ってる会社のビジョンに自分が共感できるかという基準で買い物するように変化していくと考えています。

お金へのこだわりがどんどん下がっていくこととも関連していますが、金額が高い低いではなく、ビジョンに共感できるかどうかが買い物するときの基準になっていくというふうに私は考えています。

例えば私は無印良品のものよく買うんですが、無印良品には「これでいい」というコンセプトがあります。 どういうことかというと、「これがいい」ではなくて「これでいい」というものを作るというコンセプトです。 なぜ「これでいい」というある意味では妥協のようなそういうコンセプトになっているかというと、「これがいい」という発想で買い物をしていくといろんな競争とか奪い合いに巻き込まれてしまうからです。

例えば毛皮とか象牙とかのように希少性が高いものがそうなのですが、「これがいい」という欲望に任せていたらどんどん奪い合いをしていろんなものを破壊する方向に向かっていきます。 自然環境であったり動物の生命であったりそういうものを破壊していくことにつながりかねないのです。 「これがいい」という欲望のままに買うことは、どこかで歯止めをかけなければいけないという発想です。 ですから無印良品は「これでいい」という考えのもとサスティナブルな商品を作って妥当な価格で売っていくという方針で商品が作られています。

一つ注目すべきなのは、無印良品の商品は安さが魅力というわけではないということです。 コストパフォーマンスという発想だとあまり効率の良い商品ではないかもしれません。 ただ、無駄がないすっきりした「これでいい」というデザインの思想に共感して買います。

ビジョンを基準にして買い物をすることのメリットは、満足感が高いということです。 どういうことかというと、金額とかクオリティとかそういう客観的なものではなく自分で納得できているかどうか基準になっているので、当然満足感が高くなるということです。 さらに、ちょっと割高かなという金額であっても自分がビジョンに納得しているのであればさほど不満は感じないものです。 むしろ商品でなく共感できるビジョンを買っているという精神的な安心感があり満足感が高いのです。

ということで、今日は買い物をするときの基準は自分がビジョンに共感できるかで買い物をすると楽しく生活できるという話でした。