映画『サウナのあるところ』でフィンランド神話が打ち砕かれる

フィンランドは幸福度ランキングや社会進歩指数で常に上位で、誰もが幸福に暮らしているという幻想を抱いていました。

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しかし『サウナのあるところ』を観て、現実的な面を見せられた気がしました。

映画に出てくる(全員裸)のは、離婚して娘に会いたくても元妻に面会拒否をされる男性、トイレに寝泊まりするホームレスの男性など悲しい状況に置かれている人たちばかりです。

その辛いことを話す男性に対して相手はただ話を聞いて頷くくらいのもので、慰めたり解決策を提示したりしないのがとても詩的であり映画として素晴らしいところだと思います。

よく考えれば人の死や別れは生きている限り避けては通れないものですから、どれだけ福祉政策や教育が素晴らしいフィンランドといえども同じです。

フィンランドのリアルが少し垣間見ることができたのが大きな収穫でした。

そして一つ考えたことは、どの国に生活しても同じようなネガティブなできごとがあるのだから、幸福度は本当に紙一重のところで変わってくるのではないかということです。

その紙一重のところに、政府も個人も莫大な時間と労力をかけていく必要があるのであって、「これをやってればオーケー」というお気軽なものではないのだと痛感しました。