理不尽なことに価値を感じる心理

自分で決めさせることを「優しい」とか「甘い」とかとらえる視点もあるかもしれませんが、それは少し違います。反対に「厳しい」ことがなんでも正しいことだというのも違います。

誰かに強制されてやった結果、自分の身になることはよっぽど珍しいケースです。そしてさらに悪いことに過去の理不尽な経験は、美化される傾向にあります。認知的不協和と呼ばれていて、自分の努力に対して報酬が少ないほど、満足度が高くなるという研究があります。(L.フェスティンガーとJ.M.カールスミスの『1ドルの報酬実験(1959)』)

足りない分の報酬は、「あれは価値があったんだ」と美化することで自分の中で補うのです。

一方、自分で考えるということは楽しいことです。考えて、選択して、自分の思うような結果になった時、人は喜びを感じます。

たくさん考えさせることは、甘やかしではなくちょうどいい試練を与えることであり、人を成長させるものなのではないでしょうか。