どこまでが塾講師のエゴなのか
大きな塾で働いていた時、経験豊かな先生が控室でおっしゃっていた言葉に強烈な違和感を覚えた記憶があります。 それは「あのクラスは点数がいいから、やっていて気持ちがいい」というものでした。
当時22歳だった自分は漠然と違和感を覚えただけでしたが、今となって考えれば講師側のエゴを感じて不快に思ったのだと思います。経験を積むうちに自分の中にも同じようなエゴイズムがあることを認識することもあり、分析的に見ることができるようになりました。
では、塾講師にとって気持ちがいいというのはどういう生徒でしょうか。塾ブログに書かれる記事からも、講師が生徒に何を要求しているのかを浮き彫りにすることができるので参考にしながらリストアップしてみました。
正しい方法でやって欲しい
塾で指導しているこちらの方が正しい情報を持っているのだから、その通り効率よくやってほしい、というような要求が見受けられます。
「ノートまとめはするな」のような記事が書かれることが多いと思います。
信用して欲しい
言ったとおりやってほしい、従順にやってほしいというコントロール欲求のようなものも見受けられます。
よく「素直な子は伸びる」というような趣旨で記事が書かれます。
講師の要求はエゴだらけ
こうやって見てみると、エゴにまみれた要求ではないかと感じることがあります。講師自身がやっていて気持ちのいいことばかりで、講師が決めた基準です。乱暴にいえば、押し付けです。もちろんそれらを配慮して、生徒の心に入ってきやすいような表現を上手にされている先生もいらっしゃいます。
個別指導であるのに、講師が自分の基準を押し付けるようでは生徒一人一人に対応できていないのではないかという心配があります。マイルールの基準を満たしたごく一部の生徒しか認めない結果になっているのではないかと思います。
たとえば「そこまでしてテストの点数取りたくない」という生徒に対して、ベストな対応ができるのでしょうか。
自己評価や自分が基準を設定する方が、それぞれの強みを活かすことができるのではないでしょうか。そのためには講師は自分の基準を示すのではなく、生徒自身の中にあるものを引き出すことのほうが重要なのではないでしょうか。