講師として一歩踏み込んだ関わり方

塾の講師や学校の教師として経験を積むにつれ、自分中心の関わり方から生徒中心の関わり方へと変化していきます。その変化の段階を考えてみたいと思います。

教える(ティーチング)

まず講師はレクチャーのスキルを磨いていきます。

「わからない」と言っていた生徒が「わかった」に変わる姿を見るのはとてもうれしいものです。これは短期的に成果が見えやすいということもあり、講師はみな上手に教えることを初期の目標にします。

生徒のために努力するその情熱は素晴らしいもので、ずっと持ち続けるべきです。

教えない(コーチング)

もう一歩踏み込んで生徒中心に考えると、自分がいなくなった時の生徒はどうなるかという疑問が出てきます。

自分がいつまでもレクチャーできるわけではないですし、検索や映像授業などたくさんある方法の中からレクチャーを受けることを選ぶのは、若干視野を狭めているともいえます。

講師である自分がいなくても、生徒が自立して勉強できる方法、つまり再現性のある勉強法を伝えるのに重心を置くことが、経験を積んだ講師が目指す目標になります。

たとえば、ネットで調べる時に検索ワードを作る能力、参考書を読む能力、どう勉強したらよいか自分で組み立てる能力など、直接ティーチングせずに成長してもらうという目標があります。

これらはすぐには成果が見えず、直接的に自分には反応が返ってこないものです。

生徒を想う強い気持ちで一歩踏み込もうとすると、むしろ生徒と少し距離を置いた関わり方になっていくというあたりが、難しいところでもあり腕の見せ所でもあります。