視覚化することによってダメになるものもある

見える化という一般にもわかりやすい言葉が浸透していますが、無批判に視覚化を進めることに対して違和感を覚えることがあります。場合によっては視覚化が思わぬ結果になることもあるのではないかと考えています。

たとえばご自分の人間性がスコア化されてランキングにされたらどうでしょうか。円滑なコミュニケーションが自分の強みだと考えている人に、「あなたのコミュニケーション能力は上位40%なので、平均より少し高いくらいですね」という事実を突きつけることに意味があるでしょうか。

特に自分の存在意義に関わるようなことを視覚化して他人と比較されることは成長を妨げます。そうであるならば学生たちがテストの成績で順位や偏差値で評価されることに害がないとは言い切れません。

数字を跳ね返すことができるような十分に成熟した自我や自己肯定感を持っている生徒に対してであれば有効ですが、そうでないならば成長の妨げになる可能性があります。視覚化を進めるよりも先に、心の姿勢を作ることの方が重要です。

視覚化して伝えることは大事ですがもちろん万能ではなく、伝えることによる損失もあるということを意識していくのが良いのかもしれません。