日本人の自己肯定感が低い本当の理由は何か

世界の他の国と比較して、日本の若者の自己肯定感が低いという調査がありますが、そのようになった要因は何なのでしょうか。

国民性とかいう曖昧な表現で濁さずに、どのような理由があるか考えたいと思います。

それに関して思い出すのは、三島由紀夫の『夜の向日葵』という戯曲の中にある「幸せとは何も感じないこと」というセリフです。

人はお腹が空いたり、病気で痛みがあったりして苦しい時は苦しみを強く感じます。しかしそういったことがなく満たされた状態の時は意外と何も感じないものです。

そういう意味で幸せとは何も感じないことなのかもしれません。

いま景気が良くなっている実感が持てないという意見もありますが、ここ数年でも日本は豊かになっていると感じます。生徒がクリスマスに欲しいものがないという話をよく聞くようになりました。すべて手に入っていて欲しいものがなく非常に豊かになっているようです。

今の日本の若者は幸せであり、それゆえに何も感じない状態にあるのではないでしょうか。その延長線上で自己肯定感も感じられなくなっているのではないでしょうか。

日本人の自己肯定感が低いのは、皮肉にも物質的に豊かで幸福であるからなのかもしれません。

高度経済成長の時のの日本や発展途上国のように、がむしゃらにやれば満足感や自己肯定感が得られる段階ではありません。非常に繊細な時期にきているのだと思います。