「命を大切に」という言葉

役所から「命を大切にしよう」という趣旨の生徒向けイベントのチラシが送られてきましたが、非常に心の距離を感じる、冷たい言葉だと思いました。

まず、命の大切さを「教えよう」というアプローチの仕方が違和感があります。何かを教えることが大人の役目だと思っているのかもしれません。

そしてこれは条件付きの承認です。命の大切さを理解していないから、これを理解したら良い子として認めてあげるというものです。

命の大切さを教えるという形骸化した運動をやるより、無条件で子どもたちの存在を認めてあげることが、社会の一員であるという意識を芽生えさせる現実的な方法ではないでしょうか。

大人がコントロールするのではなく、もっと責任を持たせて、いろいろな選択を自分の意志でさせることです。大人からの支援ではなく、子どもへの権限委譲です。

今の子どもたちに足りないものは存在を認められること、自己肯定感です。自分の良いところも悪いところも認められるようになれば、自然と他人の痛みがわかる人間になっていくものです。

命の大切さを伝えたいのならば、それを教え込もうとするのではなく、大人が子どもへの接し方を変えていくことからはじめていったらどうでしょうか。