自他の分離

講師になって最初の課題は「なぜこんな簡単なことがわからないのか」という気持ちとうまく対処することです。

生徒「先生、ここがわかりません!」

講師「あー・・・(こんなこともわからないの)」

生徒「なんでこうなるんですか?」

講師「うーん・・・(簡単すぎて説明できない)」

こんな状況が起こります。生徒が悪いとか問題があるという考え方をすると、生徒は敏感なので「自分が悪いのかな。もうイヤだな。」と意欲を失い、講師もどんどんストレスが溜まっていく悪循環になります。

このような状況を理解する心構えと対応の方法を身につけることで、生徒も講師も気持ちが軽くなります。

勉強を見る立場として重要なこととして、「他人と比べない」という視点を確立することがまず第一です。

他人と比べないというのは、生徒Aと生徒Bを比べないということはもちろんですが、講師が自分自身と生徒を比べないということが重要です。

普段は表面に出ないだけで、人間の能力はびっくりするくらい個人差があります。

理解力、記憶力、細かいことへのこだわりなど、自分を基準にして比べてしまいがちですが、個人によって差があるということを認識しなければなりません。

大切なのは、比べずに受け入れることです。講師自身が生徒の能力を受け入れ、生徒自身も自分の能力を受け入れられるような関わり方をするのが講師の役割です。

もし先程のような状況になったら、

「他人と比べない。特に自分と比べない。」

という意識を思い出すと良いです。生徒とのコミュニケーションはより良くなり、「信頼できる先生」だと思ってもらえるようになります。

他人と比べないという意識は、生徒とコミュニケーションを取る時にはいつでも必要な、土台になる考え方です。