学歴は人生の選択肢を増やすか
何のために勉強するの?という生徒からの質問は、教育に関わっていく限り永遠に考え続け抜かなければならない答えのない問いです。
その答え方にそれぞれの個人のポリシーが詰まっています。
各人さまざまな答えがあると思いますが、「何のために勉強するの?」に対するよくある答え方について考えてみたいと思います。
学歴が収入に直結する
まずは、大学を出ておくと給料が高いという答えがあります。たしかに学歴と所得は正の相関がありますので、大学を出ておくことは意味があると言えます。
もし発展途上国ならば、学歴が人生逆転のチャンスかもしれません。しかし、今の成熟した日本では、もっと根深い問題があります。物質的な豊かさでは幸福感を得られないということです。
幸福度研究が最近注目されていますが、収入があったところで本当の幸せは手に入らないかもしれない、という時代になってきています。収入のために勉強をして学歴を手に入れるというのは、動機としては弱くなってきているように感じます。
選択肢を増やすための時代
収入が目的でないとすると、人生の選択肢を増やすのだ、という答えもあります。「大は小を兼ねる」で、大卒なら高卒の仕事もできるが、逆は無理だから、という考えです。これは近年よく聞く答えではあります。
ただし、選択肢を増やす方法が、勉強や学歴でなければならないという理由が少しずつ薄くなっているような気がしています。
フォロワー数の方が有利
学歴よりも、SNSのフォロワーが多いほうが人生の選択肢を増やすのではないかと思うことがあります。もし受験に使う労力を、SNSのつながりを増やすことに捧げたら、いい学校を卒業するよりも安定して高い収入を得られるのではないかと思うのです。
「学ぶために学ぶ」
これらの答えに共通していて、私が苦々しく思うのは、教科の学習自体は大人になったら使わないけど、学歴はあると有利だという発想です。
そうではなくて、学び自体に意味を持たせたいというのが最近の私の関心事です。
まだうまく具体化できないのがもどかしいですが、学歴というおまけのためでなく、純粋に「学ぶために学ぶ」というシステムや環境を整えることができないかと考えています。