成長しなくてもいい

フィンランドの学習指導要領にあたるNational Core Curriculumの冒頭で宣言されている、

Each pupil is unique and valuable just as he or she is.

という一文をどう訳すのがいいのか考えています。

生徒は、他人と比べられない個性をもち、ありのままでいるだけで価値がある

といったところでしょうか。

この文の良いところは、無条件で生徒の存在を肯定しているというところです。自分が肯定された存在だと思えること、いわゆる自己肯定感を育むというポリシーが宣言されています。そしてこの言葉が、国の教育方針としてはっきりと宣言されているのが素晴らしいことだと思います。

教育的視点では、成長しなくてもありのままで十分価値があるというのをゼロ地点にして、そこからさらに成長するのならもっと素晴らしいという姿勢でいいのではないでしょうか。

我々の固定観念としては、努力せずありのままでいるとマイナスだというような意識があります。条件付きでしか自分を認めることができないという、自己肯定感の逆、自己否定感です。

「努力していなければマイナス」というエリートの発想が、普通の人である私たちからすると「こわい」という感情に変わるような気がしています。

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実際には保護者や周りの大人がすでに自己否定感に包まれていて、子どもたちにも自己否定感のフィルタを押し付けることになっているのではないかと感じるところもあります。